教員用:小中学校の学びをつなぐ ふくしまの理科カリキュラム-2

初等理科教育研究サークル「理究」

会議・研修 「シームレスな小・中学校理科授業モデルの試み」

◇編集・執筆 初等理科研究サークル「理究」

 学習指導要領に示されている「問題を見いだし・・・解決に導く過程の重視」は、どの教科でも重要です。さらに、社会の様々な課題を解決するため、科学教育の重要性も示されています。しかし小学校では、以前より理科授業を苦手としたり、指導を敬遠したりする教員も多いという状況が懸念されています。

「先生、見て!新種発見した!」
と、バッタをうれしそうに見ている3年生。
「てこが釣り合うきまりって、もしかして・・・」
と、比例の関係に気づき、休み時間も実験で確かめようとする5年生。
「電気って、+から-に流れるって小学校で勉強したのになんで?」
と、問いがふくらむ中学生。

 このような自然や科学を追究する理科授業は、これからの時代に求められている教科であり、学習指導要領の目指す学びを具現するものと考えます。小・中学校の“文化”は異なりますが、子どもたちの学びは連続しています。小・中学校教員が児童生徒の9年間の学びを見通した指導計画・授業づくりを作成、探究することが大切と考えます。

 昨年度、初等理科研究サークル「理究」は、若手教員や理科指導に苦手意識のある教員が授業構想に役立てることを目的とした理科「1ペーパー単元構想図集」を作成・編集しました。

 県内でも増加している義務教育学校や小中一貫校、連携型小中一貫校等で必要なカリキュラムの作成が求められている中、小学校と中学校とが連携しながら理科の学びがつながる実践を行い、広げていくことが、児童生徒の中1ギャップを解消し、学力向上につながると考えました。さらには、理科が好きな(得意な)児童生徒が増加することにより、地球環境問題を含む持続可能な開発目標(SDG’s)の課題解決など、将来に渡って問題解決に主体的に取り組む社会人に成長してほしいと願っています。

 そこで令和3年度も公益財団法人ちゅうでん教育振興財団の教育振興助成を受け、標題の冊子を作成、配付させていただきました。以下に、PDFデータをリンクしていますので、各校でご活用下さい。


〇はじめに
1 なぜ児童生徒にとってシームレスな理科学習なのか

2 シームレスな小・中学校理科授業への課題を探る
(1)「児童生徒にとってシームレスな理科学習とは」
(2)「児童生徒にとってシームレスな理科学習を目指す」
3 シームレスな小・中学校理科授業実現のポイント

  テーマ 事例単元
ポイント1 既習を生かして考える 小3「風とゴムのはたらき」
小6「植物のからだのはたらき」
ポイント2

帰納的な思考と演繹的な思考

小5「ふりこのきまり」
ポイント3 小から中へつながる学習内容を意識する

小3「ものの重さ」~中1「水溶液の性質」
※粒子概念の形成に関わる単元の系統性

4「理究」の考えるシームレスな理科授業モデル

  テーマ 実践単元
事例1 夜空の天体の美しさ素晴らしさを実感し、子どもたちの心情を豊かにする学び

小3「太陽と地面の様子」
小4「月と星」
小6「月と太陽」
中3「天体の動きと地球の自転・公転」

事例2 「電気」の原理を既習や生活と結び付け、追究し達成感を味わう 小3「明かりをつけよう」
小4「電気のはたらき」
小6「電気と私たちのくらし」
中2「電気の世界」
事例3 「溶ける」ことの「真正の学び」を目指して 小5「もののとけ方」
中1「水溶液の性質」

〇あとがき・研究同人・裏表紙

※ R3「シームレスな小・中学校理科授業モデル」一括ダウンロード(pdf) 


※ R2 子どもの主体的な学びを促す理科カリキュラム「1ペーパー単元構想図集」はこちら


<初等理科研究サークル「理究」設立趣旨>
 初等理科研究サークル「理究」は、令和元年6月、理科教育の重要性を思い、学力向上と問題解決的な学習が県下に広まることを願った理科教育研究を志す有志が設立した研究会です。
 会員は、それぞれが様々な団体の主催する研修に主体的に参加し、その成果を共有し合っています。筑波大附属小での研究会などに参加する機会を得て、実践を発表するとともに、様々な知見を得て、研修や学校での実践に生かしています。