丸森日誌

日本人の真心

年末の映画の中に、日本人の真心をテーマに取り上げている映画があった。その一つが「杉原千畝」。日本のシンドラーと称される彼の業績は、まさに日本人としての真心である。その彼の真心を作り出したのが、彼が学んだハルピン学院の教えでもある。ハルピン学院校訓「自治三訣」は、「人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして報いを求めぬよう」である。私は、これを知った時、ある言葉を思い出した。それが「施して報いを願わず 受けて恩を忘れず」である。これは、大隈重信の言葉とも言われるが、江戸時代の中根東里(なかねとうり)という儒学者の言葉のようである。困っている人がいたら手をさしのべる。そして、そのことで相手になにか見返りを求めたりはしない。しかし、逆に、自分がだれからか助けていただいたのなら、そのことは決して忘れてはいけない。そして、今度は自分がだれか困っている人はいたら助けてあげる。これは、日本人に限らず、人としての生き方でもあると思うのだが、悲しいことに、このような生き方・考え方は今やどこかにいってしまったのかと思う時がある。何かしたら見返りを求める。それを当然のように主張する。自分だけ施すことは損だという。そういう温かいの血が流れていないような態度・考え方。杉原千畝の生き方を知ることで、損得だけでない、真心をもって対応することの素晴らしい、美しさを感じてもらえたらと思う。