丸森日誌

「できない」ということ

以前、ある学校で「どうせぼくにはできない」という子に対して、「なぜ、やってもいないのにできないと決めつけるのか」と叱責したことがある。「できない」というのに二通りあるのだ。一つは「やってできないこと」。もう一つは「やろうとしないからできないこと」。この二つは、どちらも「できない」点では同じだが、その内容は雲泥の差がある。やった結果できない方は、そのままあきらめずにやり続ければ、いずれ「できる」可能性がある。事実、今年になって一輪車に初めて乗った女の子が、毎日毎日、休み時間一輪車の練習に取り組んだ。何度も転びながら、それでもあきらめずに毎日毎日一輪車にまたがった。そうしたある日、その子は手すりから1m進んだ。しばらくすると2m、3mと距離を伸ばしていって、今では誰よりもすいすい一輪車に乗っている。その過程を見ていた私は、改めてあきらめずに続けることはすごいことだと感心した。一方、やろうとしないからできない方は、きっとこの先もずうっとできないままである。できる可能性はゼロだ。子どもたちはなんでもできるようになる可能性で満ちている。すべては、その子自身の気持ち次第。だからこそ、「やってできない」のか、「やろうとしないからできない」のか、この二つは常に区別して考えなければならない。